うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

伝統芸能3夜 — 9月の旅(5)

しつこく続くバリ島旅行記。 3夜にわたって見た伝統芸能の記録をちょっとだけ。 農業や商業に携わりながら、楽器を奏で、踊り、絵を描き、モノを作る。そんな暮らしが当たり前だというウブドでは、毎夜各所でさまざまな公演が行われている。中でも有名なの…

4つの美術館 — 9月の旅(4)

一緒に行った友人が美術系のご職業、ということもあり、ウブドでは4つの美術館に行った。一気に見過ぎたのと、バリの絵画は情報量が多いのとで、頭が混乱して整理できていないけれど、これから機会をつくってゆっくりバリ美術の復習をしてきたいな。 日本の…

動物たち — 9月の旅(3)

旅の間、基本的に毎朝ジョギングしていた。 とにかく朝の風景が清新で本当に素晴らしかった。まずはコテージを出る手前の朝の道がこちら。ちょうど朝日の方向に入口があるので、プルメリアが散り敷くまっさらの道を、光に向かってスタートできるのが最高に気…

捧げ物のある風景 9月の旅(2)

世界最大のイスラム人口国、インドネシアにあって、ここバリ島は住民の大半がヒンドゥー。土着宗教と融合して「バリ・ヒンドゥー」として独自の形式に発展を遂げているのだという。 まちを歩いてすぐに目につくのが、カラフルなお供え物だ。 地域習俗に詳し…

ウブドの朝 — 9月の旅(1)

この夏は家族で山に登った以外は夏らしいことがあまりできなかったのだけれど、9月に夏の延長戦があった。酷暑を忘れたかのように涼風に包まれ始めた日本を後にしたのは9月5日。 超久々の海外旅行。更新したばかりのピカピカのパスポートを携えて「ほんま…

ルーティーンをやめること、あるいは名古屋ウィメンズマラソンへの愛を込めたさようなら。

マラソン大会にエントリーするようになって8年ぐらい経つ。 ランニングに対する熱は上がったり下がったりしながらも、コンスタントに大会には出場していて、ここ3〜4年は、秋のフルマラソン(神戸マラソンか大阪マラソン)でシーズンの幕を開け、1月に10…

観劇記『プレイヤー』〜演出家・長塚圭史の退屈と興奮

森ノ宮ピロティホール作・前田知大 演出・長塚圭史 キャスト・藤原竜也、仲村トオル、成海璃子、シルビア・グラブ、峯村リエ、高橋務、安井順平、村田絵梨、長井短、大鶴佐助、本折最強さとし、櫻井章喜、木場勝己、真飛聖舞台はある地方都市の公共劇場、そ…

『海辺の生と死』(2)〜生気あふれる女と自意識過剰男の恋

前記事『海辺の生と死』(1)映画の枠を主演女優が一人で超えた奇跡の映画 から続く この映画を「恋愛映画」として見たときの大きな欠点が「ヒロインが恋する男に魅力がない」ということだろう。 演じた永山絢斗が悪いわけではなく、脚本と演出に難があるの…

『海辺の生と死』(1)〜映画の枠を主演女優が一人で超えた奇跡の映画

監督・脚本 越川道夫、 原作 島尾ミホ、島尾敏雄、脚本監修 梯久美子出演 満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、秦瀬生良、蘇喜世司2017年日本155分 満島ひかり&永山絢斗共演『海辺の生と死』予告編 ダメな映画だけど、主演俳優の演技がほめるところしかない、…

せわしない日々の映画へ(1)〜『SHIDAMYOJIN』

なんかもう、夏だというのに、1本いくらの賃労働に身をやつしながら、締切をなんとかやり過ごすだけで精一杯で、ほんまに貧乏暇なしとはよく言ったものです。頭かきむしりながらパソコンに向かって目をしょぼしょぼにしているか、呆けた顔でネットを見てい…

豪華絢爛な異次元ムービー『ツィゴイネルワイゼン』

監督:鈴木清順 出演:原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、真喜志きさ子、麿赤児、樹木希林 脚本:田中陽造 1980年日本、144分 www.youtube.com 元町映画館「追悼 鈴木清順監督 浪漫三部作」にて。めちゃめちゃ面白かったわ!絢爛たる清順美学! ……の…

『未来よ こんにちは L'avenir』—狭まる未来のクローゼットに何を入れるか。

[脚本・監督:ミア・ハンセン=ラブ 出演:イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ]とても、よかった。ヒロインは50代後半の高校教師、ナタリー。同じく教師の夫と、娘、息子とともにパリに暮らしている。近所には…

まちに埋め込まれた写真たち [KYOTOGRAPHIE 2017]

写真展を見ることに対して苦手意識がある。一応広告界隈で仕事してるし、広告表現には写真が欠かせないので、何かを説明するための写真、イメージアップのための写真、消費意欲を湧かせるための写真、という目的のある写真にはなじみがあるのだけど、表現と…

ファッションをアートに変える信念と執念『メットガラ ドレスをまとった美術館』

[監督アンドリュー・ロッシ 出演:アナ・ウィンター、ウォン・カーウァイ、アンドリュー・ボルトン ほかセレブ多数 2016年アメリカ 91分] フラッシュの閃光とシャッター音の洪水のなか、豪華なドレスをまとってレッドカーペットに続々と登場するセレブたち…

2007年から遠く離れて

2007年はカラオケの年だった。 歌い、踊り、囃し、激しくタンバリンを叩きすぎたせいで手のひらにタコを作りながら、わたしは新曲をせっせと仕入れ、聴き、覚え、そして歌った。2007年、ひとり娘は2歳だった。育休明けの業務再開から1年以上が経ち、仕事も…

クズ男への怒りと、凡庸な女の寂寥『百円の恋』

[監督:武正晴、脚本:足立紳 出演:安藤サクラ 新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、坂田聡、沖田裕樹、吉村界人、松浦慎一郎、伊藤洋三郎、重松収、根岸季衣 2014年日本]アマゾンプライムで空き時間にちまちまとぶつ切れで『百円の恋』を見た。安藤サ…

法と現実が交差するジャンクション — 初めての裁判傍聴記

裁判所にまつわる原稿を1本書かないといけないことになり、先日初めて裁判を傍聴した。1件目は覚せい剤取締法違反で、2件目は常習累犯窃盗であった。4人座ればいっぱいになるベンチ式腰掛けが6脚。司法修習生なのか学生なのか、スーツを堅苦しく着た若…

『お嬢さん』の点対称、線対称、非対称

わたしの身近にいる人の中で格段に妖艶でエロ戦闘力の高い美女が、「よだれが垂れるほどエロかった」「侍女がほしい。侍女が……侍女……」などというものですから、ぜひにも観に行かねばいけないと思っていた韓国映画『お嬢さん』。 なんだかんだで観に行くきっ…

I love you , but I am not belong to you.

アマゾンプライムで『ティファニーで朝食を』を再見した。 ティファニーで朝食を (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る 4年前にこんな感想を書いていたのだけど、まあ印象はあまり変わらない。というか、以前よ…

recovering myself

この間、生まれて初めて老眼鏡というものをつくった。 ずっと視力だけはよかったので、メガネ屋さんでちゃんとメガネをつくるというのも初体験。フレームを選ぶときにずいぶん迷ったのだけど、対応してくれた感じのいいスタッフが根気よくつきあってくれて、…

才能のキラキラに照らされる

この2月、兵庫県立美術館で、特別展「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」を見た。 いわゆるアール・ブリュットの第一人者だそうだが、無学な私は知らなかった。企画・監修は甲南大学文学部の服部正准教授。巡回はこのあと名古屋市立美術館、東京ステ…

絶望の先の希望 窪美澄『晴天の迷いクジラ』

最近、続けて窪美澄を読んだ。どれもいいです。これはデビュー2作目なのかな? 晴天の迷いクジラ (新潮文庫) 作者: 窪美澄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/06/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (16件) を見る 「機能不全家族で育った」という…

映画とかDVDとか腹筋とか

最近観たりしたもの。 ●『マッドマックス 怒りのデスロード』ブラック&クロームエディションを観た。 相変わらずフュリオサ最高やったし、モノクロバージョンの格調の高さやばかった。カラーで公開したものをモノクロで公開し直すってかなり変わってるよね?…

宝塚歌劇という豪華絢爛な女子会

生まれて始めて宝塚大劇場に宝塚歌劇を観に行った。最高やった。宝塚のなんたるかが全く分からないので、演目選ぶのもチケットとるのもすべて一緒に行ったおともだちにおまかせ。で、観たのは月組の「グランドホテル/カルーセル輪舞曲」で、新トップスター…

グロテスクで愛おしい郊外小説『ふがいない僕は空を見た』

以前「GingerL」でたまたま読んだ短編『水曜の夜のサバラン』が大変面白くて、ずっと気になっていたのに読んでいなかった窪美澄さん。初めて単行本を読む。いやー大変面白かったですね。 視点人物を変えて綴られる5編の連作小説。私は相互に関連のない短編…

こどものころの自分

「あんた、小学校3年生ぐらいのときに、男の子の格好ばっかりしとったことあったよねえ」 と、年越しの帰省で母に言われた。うちは姉と私の二人姉妹なのだが、私が生まれるときに父には男児を期待する気持ちがあったらしく、それを聞いて「じゃああたしが男…

この世界に本当に居場所はあるのか『この世界の片隅に』

2016年11月の公開以来、観に行こうと思いながら行けていなかった『この世界の片隅に』を、すっかり暮も押し迫った12月29日にやっと観に行った。事前に予約していたからよかったものの、18時すぎの回のシネリーブル梅田は満席だった。すごいね。 私は涙もろい…

オンリーワンでもナンバーワンでもなく

お昼に、凡庸な炭水化物を食べたくて三宮駅の周辺で適当にイタリアンもどきみたいな店に入った。なかなか便利な場所で、以前はそれなりにがんばったおしゃれなイタリアンが入っていたのだけれど、その店が撤退し、それからいくつか店は変わっているのだろう…

深夜のひとりごと

自分の体を差し出すことで誰かが喜ぶならどうぞと差し出したい思いは常にあるのだけど、そういう受け身かつビッチな感性については、自分でいいとは全然思っていない。それにともなうトラウマもあって、だいたい自分のことは(人の利害が絡まない限り)なん…

冷たい空気のなか、芝生を踏んで走る

出張でつくば泊、というとみんな「あー」みたいな感じで「なにもないよー」という。前も大学の取材で来たことあるけど、このときは日帰りだったかな。でも今回か朝から夕方まで3件インタビューの予定が入っているということで前乗りを指示されたのだ。 東京…

死を抱く生。北品川の原美術館

東京出張で仕事が早く終わり、品川から新幹線に乗る前に、駅から歩いて15分ほどのところにある「原美術館」に寄った。現代美術の専門美術館。初めて。品川区北品川。まちの向こうに林立する高層ビルを望みつつも、バス道を一本入ればそこは閑静で住宅街で、…

10月に思ったりしたこと

視覚を間接的に得る 障害者スポーツを体験できるイベント「ノーマライゼーションスポーツ大会」に娘と一緒に参加した。アイマスクをつけて鈴の入ったサッカーボールでシュートしたり、レース用の車いすで100mを駆けたり、いずれも楽しい体験だったが、出色…

黒柳徹子という奇跡『レティスとラベッジ』

もうね、最高!!黒柳徹子さんはずっと好きだったのに、舞台は観たことなかった。「海外コメディシリーズ」の主演を長く続けていることは知ってたのに「女優・黒柳徹子」にあんまり興味がなかったのだ。でも大好きな麻実れいさんと共演される舞台の情報がツ…

美は権力 『男と女』

[監督]クロード・ルルーシュ [脚本]クロード・ルルーシュ、ピエール・ユイッテルヘーベン [音楽]フランシス・レイ [出演]アヌ—ク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ピエール・バルー、バレリー・ラグランジェ1966年・フランス 104分…

信じるべきか、疑うべきか、それが問題だ。『怒り』

[監督・脚本]李相日 [出演]渡辺 謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野 剛、広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、池脇千鶴、宮﨑あおい、妻夫木聡 まじかー。キッツ〜。しかし、面白い!これなに? サスペンス? 役者がみんなよ…

妄想男とスピリチュアル女の珍道中 『アンナとアントワーヌ』

[監督・原案・脚本]クロード・ルルーシュ [音楽]フランシス・レイ [出演]ジャン・デュジャルダン、エルザ・ジルベルスタイン、クリストファー・ランバート、アリス・ポル2015年・フランス・115分 ルルーシュ監督好きなんです。ダバダバダ……のけだるい…

対話するうた「連句」

『連句茶話』を読んだ。神戸在住の詩人・鈴木漠さんの連句論だ。 連句茶話 作者: 鈴木漠 出版社/メーカー: 編集工房ノア 発売日: 2016/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 季節を折り込んだ五七五の発句に続けて、七七(短句)、五七五(長句)…

選択することの痛みと輝き『ブルックリン』

TOHOシネマズ西宮OSで『ブルックリン』を観た。ちょっと前。いや、だいぶ前。参加している映画の会の課題作だったので観たのだけど、公式サイトで予告編を観てみると、すっげー「なんだかなー」って感じでテンションがだだ下がりに下がった。 www.foxmovie…

超個人的な長いぐちゃぐちゃ。『ひと夏のファンタジア』

奈良県五條市、というのは私の出身地で、今も実家はそこにある。 紀伊半島のだいたいまんなかあたりに位置し、海なし県・奈良県の中でも特に海から遠い。私は高校卒業までしか住んでいなかったけど、「市」とはいってもずーっと人口3万人台。平成17年に隣接…

共同生活って難しい……『マダガスカル』

大雨で明けた土曜日の朝、娘と一緒にアマゾンプライムで「マダガスカル」を見た。ニューヨークの動物園の人気者、芸達者で都会派の動物たち(シマウマ、ライオン、カバ、キリン、ペンギンたち)が、動物園を抜け出し、いろいろあってマダガスカ島に漂着して……

ストレスに満ちた現実を異化する『団地』

ほんと、ストレスがたまりまくっていたのですよ。仕事が忙しいといっても作業がたまってるだけじゃなくて、日替わりで違うクライアントの全くタイプの違う取材がここんとこ毎日毎日入っていて、取材に行くと原稿書かないといけないわけなのだけど、毎日取材…

だらだらとした温泉紀行

5月末に岩手での取材仕事が入った。 朝9時に北上駅に集合して2カ所でインタビューと撮影を行うというスケジュール。というわけで、夕方に神戸を出て、仙台あたりに前泊する予定がクライアント側から提示されたのだけど、「せっかく東北まで行くのなら温泉に…

既婚女子を脱ファッション化するカタログ通販という罠

おしゃれの話ふたたび。 私は、ひとり娘を出産する前、8か月でお腹の中の子を亡くしたりしたので、都合2年ぐらいなんだかんだと妊娠したり、その合間だったり……という状態が続いたことがあった。32〜33歳ごろの話である。お腹が大きい間は妊婦用の服しか着…

見晴らしがよい服

ひらひらとしたシルクのワンピースを着た。クロスバイクで通勤しているので平日は基本的にパンツなんだけど、パンク修理を忘れていたのでここんとこ電車で事務所に行っている。自転車に乗らない日はふだんあんまり着られないスカートを優先的に履きたくなる…

うんこまみれで生きる 伊藤比呂美『犬心』

伊藤比呂美の文章はなんでこんなに心を揺さぶるのでしょうか。在米の詩人である著者が、熊本に暮らす老親の介護と看取り、それに重なる老犬の介護と看取りに奔走する1年あまりの日々を描いたこの本ももちろん例外ではない。本に登場する犬たちは、それぞれ…

子宮筋腫の手術から10か月経っての雑感

そう、昨年6月末に内視鏡で子宮(とついでに卵管)を摘出する手術を受けたんだった。術後3か月は気分も沈んでいたし体調も本調子ではなく思うように体が動かせなかったけど(というより体調が本調子でなかったので結果的に気分が沈んでいた)、体力が戻ると…

相互補完が崩れるとき 『リリーのすべて』The Danish Girl

監督:トム・フーパー、出演:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、アンバー・ハード、マティアス・スーナール 120分/2015年/アメリカ lili-movie.jp 見てから随分経つのだが、感想を書けずにいた映画。舞台は1920年代のヨ…

エーゲ海に工場あり『牡蠣工場』

監督・撮影・編集:想田和弘 2015年 148分 http://www.kaki-kouba.com/ www.youtube.com 映画『牡蠣工場(かきこうば)』を観た。「日本のエーゲ海」牛窓を舞台にしたドキュメンタリー、監督いわく「事前のリサーチや打ち合わせ、台本もない。予定調和や先入…

政治の季節の愛の生活『ドクトル・ジバゴ』

監督:デヴィッド・リーン 脚本:ロバート・ボルト 原作:ボリス・パステルナーク出演:オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティ、ジェラルディン・チャップリン、アレック・ギネス、トム・コートネイ、リタ・トゥシンハム、ロッド・スタイガー、ラルフ・リチャ…

あなたの死角を愛せるか 『追憶と、踊りながら LILTING』

www.youtube.com 監督・脚本:ホン・カウ 出演:ベン・ウィショー、チェン・ヘイヘイ、アンドリュー・レオン、モーヴェン・クリスティ、ナオミ・クリスティ、ピーター・ボウルズ昨年公開された「007 スペクター」を観た後、「ジェームスボンドのようなマッチ…