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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

女の絶望

伊藤比呂美の「女の絶望」を読む。面白すぎる。面白すぎて泣ける。なんて優しい人なんだ。おびただしい数の女から(時に男から)寄せられた悩みに答えつつ、それら無数の無名の人々の人生物語を折り込みながら縦横無尽に語り尽くす愛と性、生と死、人間の業。心地よいグルーヴ感のある語り口。思春期、セックス、不倫、離婚、老い……ときて、最後は老親の介護の話。これは泣く。

 

 目を閉じれば、子どもンときの、父が、母が、浮かんでまいります。母親に手をひかれて歩いた道も。父親のあぐらの中にすわっていたときの匂いも。目をあければ、寝たきりの老女がそこにひからびてェる。ぼけかけた独居老人がよろよろと立ち上がる。
 これは親殺し、とあたしは気がつきました。

 
「絶望」をタイトルに掲げながら、決して絶望していない、欲望し続けているところがいい。

 

女の絶望 (光文社文庫)

女の絶望 (光文社文庫)