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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

GINZA12月号

音楽

雑誌「GINZA」の12月号は「歌謡曲特集」。
モード誌なのに斬新すぎる特集。さすがだGINZA! とリスペクトしつつ購入したが、それにしてもこんなにあからさまにアラフォー向けであることを表明してしまって大丈夫なのか。面白かったけど。

GINZA (ギンザ) 2013年 12月号 [雑誌]

GINZA (ギンザ) 2013年 12月号 [雑誌]

 

 
70〜80年代ミュージックを色んな形でフィーチャーした誌面を参考に、ちあきなおみの歌をyoutubeで聴いた。泣いた。


夜へ急ぐ人 ちあきなおみ 1977 - YouTube

 


往年のアイドルソングの歌詞も色々載っていたが、その含蓄に改めて感心。さすがに職人技というか、プロっぽいというか、昨今のシンガーソングライティング系だったり、プロデューサー系の歌謡曲にはない「巧み」に打たれる。

ところで本題はチューリップである。

ファッションページに、チューリップの「虹とスニーカーの頃」の以下の歌詞が引用されていた。財津和夫の作詞である。

わがままは男の罪 それを許さないのは女の罪
若かった 何もかもが あのスニーカーはもう捨てたかい?

 

サビのところのキャッチーな詞とドラマチックなメロディーがたいへん印象的。久々に聴いてみたいと思って、これもyoutubeで聴いてみた。
 


チューリップ 虹とスニーカーの頃 - YouTube


へえ、こんな内容だったか。
歌の中では男女のカップルが、映画『潮騒』のごとく、雨に濡れた体で抱き合ったりしてイチャイチャするけれど、最後には「もつれた糸を引き離すように 2人は突然他人になっ」ている。その原因は歌詞の中では明らかにされておらず、何か青臭い理由で別れたことが匂わされるのみだ。さらに、その理由は「男のわがまま」であり、「そのわがままを女が許さない」ことで、別れが決定づけられたことがリフレインで暗示されている。

なにそれ、一体何があったんだよ。
男が女を捨てて、東京にでも行ってしまった?
あるいは、男が浮気でもした?

でもどっちもしっくりこない。
まず、夏に始まり、秋には終わったらしいこの恋が、春を待たずに突然遠距離に引き裂かれるとは考えにくい。また、男が一方的に女に飽きて見限ったというならともかく、青臭さを称揚するようなこの歌で、男が女に浮気の許しを乞うなんてオッサンくさい展開もあり得ないだろう。

しっくりする答えを求めて半日ぐらいあれこれ考えてようやく分かった。
これは望まぬ妊娠と中絶の歌やんか。
自由でいたい男は妊娠を告げられて石になった。女は呆れて他人になった。
斉藤美奈子が著書『妊娠小説』の中で喝破したとおり、村上春樹の処女作『風の歌を聴け』と同じ構図の(男の妄想で色づけられた)「妊娠歌謡」ではないか! そう考えて聞くと「若かった何もかもが」という歌詞も、深いというかなんというか。

 

え、白いスニーカー? 捨てたに決まってるだろ、ふざけんな。