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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

サイモンシン『宇宙創成(下)』

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

 

ちょろちょろとしか読み進められなかった下巻、ようやく読了。後半は、今や宇宙創成の真理とされる「ビッグ・バン」理論がいかに発展してきたかをたどる壮大な旅。

(上はコレ。 読んでるところ - うだうだと考える日記


中でも「ビッグ・バンモデル」と対立する「定常宇宙モデル」を死ぬまで信じ続けた天文学者フレッド・ホイルが、皮肉にも「ビッグ・バン」の名付け親となり、現在宇宙に存在する元素がどうしてこのような比率で存在するかを美しく説明し尽くし、結果としてビッグ・バン理論を補強してしまうくだりはとても印象的。

そして、望遠鏡などの観測ツールや観測技術の進化にともなって、考えられる宇宙の規模がガツン、ガツンと広がっていくさまは、進化と同時に茫漠たる未知が広がる恐ろしさが突きつけられるような気がして、読んでいて何か奈落に静かに落ちてゆくような恐怖を感じた。

終章「エピローグ」には、ビッグ・バンから宇宙が始まった大きな証拠である「宇宙マイクロ波背景放射」のゆらぎを精密に測定してマッピングした「図104」(p311)が掲載されているが、この図に添えられた「WMAPのチームは、宇宙の年齢は137億年と推定し、誤差はわずか2億年とされた。また宇宙の構成要素のうち、23%は暗黒物質、73%は暗黒エネルギー、4%が通常物質という結果が得られた」という文章など、もはや私が読めば最新の科学の知見なのか、吉田戦車の漫画の中のセリフなのか判別がつかないレベルで言葉を失う。なんですか、暗黒エネルギーって。

しかし、今現在の私の体を構成している炭素が、一部はビッグ・バンの際に生まれたものであり、一部は初期の星の内部で生成され超新星爆発でばらまかれたものであると想像することは確かに楽しい。

ところで訳者の青木薫さんのWEB連載が「HONZ」にあった。とても面白い。
NEW YORKERに掲載された科学記事を紹介するもの。

青木薫のサイエンス通信 - HONZ


最新記事は、除草剤アトラジンをめぐる恐ろしい話……。→
が、その中にさりげなく青木薫さんのケプラー愛にまつわる記述を発見。そうか、私が青木さんの著書や訳書を読んでケプラーにシンパシーを感じたのは偶然ではないのだな。