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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

鈴木さんと上野さん

たまたまpodcastで、TOKYO FMの「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」を聞いた。
10/30、11/20にリリースされた「日本を代表する社会学者の上野千鶴子さんとの対談」という3回シリーズ。とても面白かった。

 

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ

 

そもそも、ジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんが臨時編集長を務めたジブリ特集の「AERA 2014年8月11日号」用に収録した対談だそうで、鈴木さんと上野さんはこの対談が初対面だったそうだが、ともに1948年(昭和23年)生まれの同い年で、同い年ならではのツーカー感が聞いてて気持ちよいのね。そして、私、上野千鶴子さんが話してるの聞いたの初めてなんだけど、すごく話すトーンが素敵な人なんだなあ、と。文章だけ読んでたらイヤミなんだけど、同じこと言ってても読むと聞くでは全然印象が違う。特にアニメとかサブカルチャー方面のことに言及する文章は、なんだか的外れだったり枝葉末節だったりすることが門外漢の私が読んでも分かることがしばしばある上に、言及対象よりも自己の論理に対する愛を強く感じさせるところがイヤだったんだけど、鈴木敏夫さんの受け手キャラによるところも大きいのか、今回の話は全部面白かった。それを可能ならしめる鈴木さんの肯定力と素直さと健全な揺るぎのなさはすごいぞ。上野さんが球を投げると「おっしゃる通りですよ」と全力で肯定してから、なぜかそのボールをあらぬ方に逸らし、しばし後に思い出したようにミットめがけて剛速球が返ってくる、という風情。

ま、それはともかく。

へえーと思ったのは、『風立ちぬ』には、もともと零戦による重慶爆撃のシーンを入れるはずだったけれど、結果的にカットした、という話。議論の末に「ぜひ入れたい」という結論に至った重要なシーンだったが、宮崎駿が「その絵」を描き切る力量がないと悟り、断念したそうだ。いやー、入れてほしかったですね。残念。実現していれば少年堀越二郎が夢で田舎の大空を飛んだあのシーンと見事な対照をなしたはず。戦争による破壊がより苛烈に浮かびあがり、ラストシーンの意味が変わったのではないでしょうか。

何にせよ、一国にとどまらず、世界の文化に影響を及ぼすような仕事をしている人っていうのはすごいな。こんなこと、なかなか言えないもんね。

鈴木「これ以上やると罪だな、と思ったから、もうやめようと思ってるんですけどね」
上野「どんな罪を犯されました?」
鈴木「やっぱりヒットさせすぎですよね。(中略)その影響を受けてその作品のことを引きずる人が出てくる。それはどうかな、という思いが僕の中にあるんですよね」

 

「大アジア経済連合」の夢想も面白かったな。
アエラの当該号、読んでみなくてはね。

 

AERA (アエラ) 2014年 8/11号 [雑誌]

AERA (アエラ) 2014年 8/11号 [雑誌]