読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

『チャッピー』

www.chappie-movie.jp


[監督:ニール・ブロムカンプ、脚本:ニール・ブロムカンプ&テリー・タッチェルキャスト:シャールト・コプリー、デーヴ・パテル、ニンジャ and ヨーランディ・ヴィッサー、ホセ・パブロ・カンティージョ、シガニー・ウィーヴァー、ヒュー・ジャックマン


チャッピー。よかった。意外にも。

意外にも、というのは、私はバイオレンス系は本当にダメなのです。メタ視点で映画を俯瞰できないため(視野が狭いため)、それがフィクションと分かっていても、誰かが凄惨な暴力を受けているシーンをエンターテインメントとして見られない。基本的には痛みしか感じない。
予告編を見てもファイヤーでファイティングでマッドな感じだし、うわー、これどう考えても私が好むテイストじゃないでしょ、と思ったのだけど、映画館で観てよかった。自分の好みじゃないものを体験してみるというのは、失敗しがちではあるけれど、うまくいけば意外な収穫があってよいものです。しかし、俯瞰視点も身につけなければ、カルチャー系のインプットの幅が狭まるよな。今後、精進したいところです。

というわけでチャッピー。

舞台はギャングが支配するバイオレンス・シティ、南アフリカヨハネスブルグ。あまりにも犯罪発生率が高く生身の警官では街の治安を維持することが難しいため、武器メーカー「テトラバール」が開発した人間型ロボ「スカウト」が、警察に正式採用されているというディストピア。それにより犯罪発生率は抑制され治安は改善されつつある、という設定。開発者であるオタキャラのエンジニア、ディオン(デーブ・パテル)は独自にAIの研究に打ち込んでいて、そのプログラムが完成した時、どうしてもその成果を自分の目で確かめたくなり、廃棄予定のスカウトに勝手にそのAIプログラムを埋め込んでしまう……。

いざ、文章にしようとしてみると、何がよかったのか、はっきりいって整理できないのだけど、とにかくチャッピーが可哀想で可哀想で嗚咽してしまった。街のギャングたちにリンチされ、元軍人のクレイジーなエンジニア、ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)から暴行を受け、心も体もズタズタに傷つき、わけも分からず大好きなマミーのいる家に帰るチャッピー。なぜ嘘をつくの、死にたくない、とキレるチャッピー。もうね、本当に可哀想で、可哀想で。

そう、私は、この映画に『かぐや姫の物語』と同じようなツボり方をしたのであった。楽しくて創造性あふれるわくわくした世界に産み落とされたはずなのに、人間のやることは醜い。でもそこには愛があったりするんだよ。ゴミ溜めの中のきらめきが。

あのヴィンセントがチャッピーからキーを奪うシーンね、はっきりと強姦のメタファーでした。車に無理矢理乗せて、何も悪いことをしていない存在を辱め、暴力をふるい、一方的に簒奪して、目的さえ達成すればボロボロになったその相手をゴミを見るような目で見て道端に置き去りにする。これ以上なく完全に強姦を表現していて、辛すぎて泣きました。ヴィンセントが醜悪な軍事ロボ・ムースを操るシーンの興奮しきった異常な挙動も、はっきりと強姦魔の挙動でした。我を忘れて興奮すんなよ、このド変態、まじキモいんじゃ。あいつは『先生の白い嘘』の早藤。死ね。まじで死ね。

ギャングのカップルを演じていたのは、南アのラップユニット「ダイ・アントワード」だそうで、どちらもとてもよかった。ヨーランディ……。ディオンに放った「どうしてチャッピーをコントロールしようとするの」というセリフがよかったですね。やっぱ「かぐや姫の物語」の翁と媼じゃん。ね、ね、そう思うでしょ?

ところでこの映画、PG12指定でしたが、本来ならR18指定のはずで、暴力シーンがカットされているそうですね。私にはちょうどよかったけど、結構カット感あったわ〜。最後の人体チョンパがあれで終わるの、映画的にはおかしいもんね。壁に血糊ついてるのに、決定的なシーンがないなんてさ。そういう表現にめっぽう弱い私ですが、やっぱそこはカットされてないものが見たいわ。

 

かぐや姫の物語 [DVD]

かぐや姫の物語 [DVD]

 
先生の白い嘘(1) (モーニング KC)

先生の白い嘘(1) (モーニング KC)