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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

夢の実現、自由の獲得

DVD 映画

小4の娘と一緒にDVDで観たディズニーのファンタジー2作。

娘はラプンツェルがいたく気に入ったようで。

アリス・イン・ワンダーランド
[2010年アメリカ 監督:ティム・バートン、脚本:リンダ・ウールヴァートン、キャスト:ミア・ワシコウスカジョニー・デップヘレナ・ボナム・カーターアン・ハサウェイ

いわずとしれたルイス・キャロル不思議の国のアリス』を題材に、その13年後を描くファンタジー。19歳のアリスを演じるミアちゃんの眉間の、というより眉頭の縦シワが、ジョン・テニエルが手がけた原作の挿絵チックでとてもよかったですね。終始、さほど笑顔がない感じ。
最愛の父を亡くし、意に沿わぬ結婚をさせられそうになるアリスが、現実からの逃避として迷い込んだワンダーランドで、忘れかけていた「本来の私」を取り戻す……。パーフェクトなまでの女の子の応援歌、でありつつ、それ以上に「父の娘」のお話。
「自由であれ」「大胆であれ」「やりたいことは何でも実現せよ」という、父からのプラスの呪いをかけられた優秀な娘が長じて「男並みに」活躍する。くだらない男を拒否して自らの道を歩むアリスに快哉を叫びつつ、父によってきらめいた資質が、父亡き後、母によって抑圧されようとしていた事実に鬱々としたものを感じないでもない。もちろんそれは母個人のせいというよりは社会的な抑圧なんですが。
エンディングはアヴリル・ラヴィーンのカタルシス感あふれるテーマソング。この映画、今まで観てなかったのに、このアルバム(Goodbye Lullaby)は持ってるわ。いっときiPodでよう聞いてた。女性シンガーが絶叫する歌、好きなんだよね。


塔の上のラプンツェル
[2010年アメリカ 監督:バイロン・ハワード 脚本:ダン・フォーゲルマン

なんだこの完全なまでの毒母からの独立・洗脳解除ストーリーは! と思ったら当たり前だがネット上にはそんな感想があふれていた。そりゃそうよね。
最初にラプンツェルが塔から下りて下界で遊ぶとき、「今日は今まで最高の日!」っていう躁っぽいハイテンションと、「お母さんを裏切って私って悪い子…」っていう欝っぽいローテンションをシーソーのように行き来するシーンが可哀想で泣けた。そして、毒母が自分の利益のために弱者たる娘から手ひどく搾取する様子、その搾取に気づかれないように無力化する様子がかなり詳細に描写されていてびびった。裏で手を回して娘に近づく男を追い払った上で「お前は人間として無価値だ」と宣告するくだりとか、まじでありそうやん。こえーよ。そして抑圧の象徴(母が設定したよき娘の条件)である長い髪を男がバッサリ切ることで解放がなされるという、本当によくできたお話で。

しかし、ラプンツェルが無邪気にも、自分の住まいに侵入してきた素性の分からない男に「取引」しようと持ちかけたり、無頼者が集まる店で屈強な男たちに果敢に闘いを挑んだりすると、反射的にヒヤヒヤせずにいられないのだが、そこはディズニー映画のお約束として「どれほど暴力的な素養を持っていても、愛情のない女性に性的な関心を抱く男はいない」という素晴らしい法則が効いているので、普通の大人向けのお話であれば、そこで当然直面するはずの性的な危機に直面することはない。まさしくこちらのブログに書かれていたような「女性にとって都合のよい男性」ばかりの国。

fuyu.hatenablog.com


まあもちろん、「不思議な力を持つ長い髪」が処女性のメタファーになっているのは明らかなのではありますが。だからメタファーの解釈のしようによっては、髪の不思議な力でアドベンチャーを切り抜け、ここぞと見初めた男に髪を切らせるラプンツェルは「処女性をちらつかせてさまざまな男をコントロールしながら最終的に目的を達成する手練れの女」に見えなくもないという。

でもやっぱうまいな、ディズニー。翻案の時代への食い込ませ方が素晴らしい。

 

 

アリス・イン・ワンダーランド [DVD]

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