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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

自分の人生が楽しいことを公言するな、という圧力

雑記 自分 漫画

 

地獄のガールフレンド  1 (フィールコミックス FCswing)

地獄のガールフレンド 1 (フィールコミックス FCswing)

 

 

「自分の人生が楽しいと 人に言いづらいのはなんでだ」「お互い選んだ道が違いすぎるから 私たち女は 誰も彼も大変てことにしてなきゃいられない」 鳥飼茜『地獄のガールフレンド』より


ちょっと前に、鳥飼茜さんの『地獄のガールフレンド』という漫画の感想を書いて、上のセリフにすごく違和感を感じた、ということに触れた。というのも私自身は「自分の人生が楽しい」ことを「言いづらい」と感じた覚えがないから。だって、この社会では一般的にポジティブな文言の方が歓迎されてない? 実際、facebookとか見ればリア充報告ばっかだと思うんだけど、そこんとこどーなのよ。みんなあれ見てイライラしてんのかな? 私はどっちかというと自虐ネタの方がイライラするけどな……。どっちかというと「しんどい自慢」とか「忙しい自慢」の方が「しちゃいけないこと」「やったら恥ずかしいこと」のような気がするんだが、気のせいなのか?

などなどモヤモヤしていたが、Twitterの読者の感想を見ると、このセリフに共感してるものが多いんだよね。うーん、うーん、よく分からねえ! と思っていたところ、こちらのインタビューを知り、その中にこんな著者の言葉を見つけた。

 

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私は実をいうと「大変なんだー」とはあんまり言わないほうで、逆に「楽しいよー」と言ったことで顰蹙を買ってしまったこともあります。顰蹙を買って初めて 「言わないほうがよかったんだ!」って気付いたり。だから「楽しい」って言いづらいなって思うことが多かったんです。職業柄、女性の集団に身を置いている わけでもないから「何でだろう?」って疑問に思ったりしますし。

 
うわー、これなら私も分かるぞ。先日、実は私もタイムリーにも顰蹙を買ったばかりなのだ。
久々に元同僚(有職既婚子持ち女性)と飲んでいたとき、私が「なんだかんだ言っても私は恵まれてると思うけど」ど言うと、「そういうことあまり言わない方がいいよ。反感買うよ」と注意されたのだ。えーーー! びっくり。誰に反感買うのだろう? あなたが反感を持ったのか? と聞いたら違うという。「私は何とも思わないけど、そういうこというとムッとする人がいる」というのだ。えーどこに!?
会話の詳細は覚えていないけど、仕事で理不尽な目にも合うし、激務になると辛いところもあるけど、基本的にやりたいことやってるから満足だし、比較的仕事にも人にも恵まれていると思う、というような文脈での発言だったと思う。自慢を言ったという意識はまるでなく(もちろん意図的に自慢を言うこともあるけど、この時は本当にその自覚はなかった)、本当に晴天の霹靂でびっくりした。でも、彼女の属する主婦的なコミュニティには、確かにそういう圧力があるのだそうだ。「詳細は言わないし、私は実害を被っているわけじゃないけど、そういうトラブルは多い」のだそうだ。
正直、私は、彼女にそこまで言われても、どこに顰蹙を買う要素があるのか全然ピンと来なかったんだけど、なんかそういう世界があるのは事実のようだ。そりゃ、大変やな……。彼女の住まいは、私の住まいよりも山の手的な場所にある、ということが関係しているのかもしれない。

よく分からないけど、私は空気を読めないタイプなので、気づかないうちに人に嫌われてるってことはありそうだな、ということは分かった。小さいころからコンプレックスが強かったので、作中のモテ女・奈央さんとは違う意味で自分にしか興味がなく、そのせいで空気を読めなくなったのかもしれない。でもそのおかげで、私はこれまでの人生で、「いじめ」とか「派閥争い」に全く関与せずに生きてこられた部分がある。どんなに嫌われても、自分が気づいてなかったら気にしようもないから、嫌われてないのと同じだし。

このエピソードで思い出したことがひとつある。
大学時代に、ホテルの配膳バイトをしていた時のことだ。近隣の色んな大学から20〜30人ぐらい常時登録されていたので、サークルみたいなノリでみんな仲がよく、仕事の後は色んなメンバーと飲みに行ったり、メンバーの家に遊びに行って宴会をしたりして楽しい日々だった。ここで1年ぐらい働いた時だったかな? 私より2、3歳下の短大生が新しいメンバーとして入ってきた。彼女は可愛くて目立つタイプで愛嬌もあったので、すぐアイドル的な存在になった。その彼女が入って2か月ぐらいのとき、「相談があるんです」と私を食事に誘ったのだ。その相談内容が衝撃だった。「○○さん(私)は、なんでA派閥の人ともB派閥の人とも遊んでるんですか。そんなことしてるの○○さんだけですよね」というのだ。バイト先に派閥があるなんて初耳だった私は「は?」としか言えなかったのだけど、彼女の語るところによると、バイトを統括する社員が2つの派閥にかっちりと分かれており、バイトは全員「どっちにつくか」を迫られて完全に二分されているのだという。彼女自身はまだ心が決まらず保留状態にしているのだが、人間関係をよく観察すると、私だけがふたつの派閥の間をふらふらと行ったり来たりしていて、しかも咎められていないので、思い切って聞いてみた、というのだ。そんなこと考えてもなかった私は、そんなややこしいコミュニティに属しているのが怖くなって、直後にバイトを辞めた。そして、そこに属していても見えないものがあるんだ、ということを初めて知った。
多分、空気が全く読めてないうえに、取るに足らない存在だった私は、いわゆる「あぶらむし」(正規メンバーとして認定されていないメンバー)だったんだと思う。1年もいたのに。対して、たった2か月で重要人物と目されたのが彼女。たぶんそれまでも、学校で、バイト先で、色々な人間関係に巻き込まれてきた人なんだろうなと思った。ま、全体として「バカにされてるような気分」にならざるを得ないエピソードではあったけど、この資質は確かに私を幸せにしてるような気がする。だからもう一生そのままでいいや。

インタビューを読むと鳥飼茜さんもこっち側の人のような気がするんだけど、それでも、自分とは違う価値観の人の共感を引き出す漫画を描けるってやっぱすごいな。表現者ってあっぱれ。
……という、長々と書いた割にはバカみたいな感想でおわり。