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うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

recovering myself

 この間、生まれて初めて老眼鏡というものをつくった。

 ずっと視力だけはよかったので、メガネ屋さんでちゃんとメガネをつくるというのも初体験。フレームを選ぶときにずいぶん迷ったのだけど、対応してくれた感じのいいスタッフが根気よくつきあってくれて、最終的に、無難に似合う濃色の樹脂フレームのシュッとしたやつじゃなく、リムは華奢なゴールドのワイヤーでテンプルは明るいベージュ、そしてまん丸じゃないラウンド型という、どちらかというとあたしっぽくないやつを選んだのであった。

 できあがりまでに2週間ばかりかかるということで、受取票だけをもらって帰るとき、メガネが似合う感じのいい担当者が「すごくいいと思いますよ! とてもお似合いでした。これを機会にメガネを好きになってくださいね」と言って送ってくれた。
「メガネを好きになってくださいね」というセリフに、仕事を愛している感じが出ていて、いいなあと思った。

 で、先日それを受け取りにいったところ、別の人が応対してくれたのだが、メガネと一緒に持ってきてくれたケースを見てびっくりした。メガネは確かに私が選んだやつに違いないけれど、ケースにアニエスベーと書いてある。え、あたしが選んだフレームってアニエスだったのか。そんなはずじゃなかった気がするんだが……。疑問に思いながらも特に追求せず受け取ったのだけど、なんとなく、あたしぐらいの世代にとってのアニエスというのは、とても懐かしくて、でも、終わってしまった過去のブランドで、そのケースを持ち歩くのちょっと恥ずかしいなあ、しまったなあ、買うときにもうちょっとブランドを確認したらよかったなあと思ったのだ。

 まあでも、メガネ自体は大変素晴らしくて、夕方あたりになると格段にぼやけ始めていた視界を、きちんとクリアに補正してくれる。軽くてかけ心地も悪くなくて、かけるたびに、視力にはこんなに手軽な補正方法があってよかったなあなどとしみじみ思う。ケースもしっかりしたハードタイプなので、粗忽な私が扱っても今のところメガネに疵などはついていない。

 で、今日、ふとメガネを外してテンプルの裏側をよく見てみたところ「LAGUNAMOON」って書いてあることに気づいた。やっぱアニエスと違うやん……。誰かのと間違われたのかな。

 ケースの内側には「b. yourself !!」っていう素敵なメッセージが書かれているのだけど、ケースと中身が違うことがはっきりした今となっては、現実とメッセージとのギャップがなんか滑稽。でもまあいっか。衰えた目の機能を補正したぐらいで「自分自身」になれるかどうかは知らないけど、自分のなにがしかの不足を補うために道具の力を借りようとするとき、目にするメッセージがポジティブなもの、というのは悪くない。そしてもちろん、自分だけのためにカスタマイズされた頼れる道具が身近にあるという安心感も、悪くない。

 結局のところ、けっこうメガネが好きになったので、親切な担当者さんとの約束は果たせたみたいで、よかった。

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