うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

まちに埋め込まれた写真たち [KYOTOGRAPHIE 2017]

写真展を見ることに対して苦手意識がある。

一応広告界隈で仕事してるし、広告表現には写真が欠かせないので、何かを説明するための写真、イメージアップのための写真、消費意欲を湧かせるための写真、という目的のある写真にはなじみがあるのだけど、表現としての写真、アートとしての写真、というものの文脈がわたしにはまるで読めないからだ。

写真を撮るのは好きなのだけど、わたしにとってそれは「きれい」「すてき」と思った瞬間を形にしたい、という衝動のはけ口になるからという以上の動機はない。その衝動をうまくはき出すためにも「見たもの」と「写ったもの」のギャップは少ない方がいいと思うから、ある程度方法論は知っておきたいと思うのだけど、表現への情熱がないからか、まるで上達しない。

とはいえ、下手は下手なりに撮ることに関しては自分の衝動があるから分かりやすいけれど、他人の撮った写真を見ることに対してどういう態度をとればいいのかが分からない。写真を見て「きれい」「すてき」と思うことは多いけど、そのようなクリーンな好意を得るために積極的に写真を見たいか、ましてわざわざどこかに出向いてまで見たいか、といわれると、正直、あまりそうとは思わない。

写真サークルにも入っているので、それなりに写真を見る機会は増えたけど、やっぱり写真鑑賞に対する苦手意識は消えない。ただ、知人が撮った写真を「知人が撮った写真」という文脈の中で見る場合は、もう少し楽に見ることができる。それも結局、私が写真をフラットに見る視点を獲得していないからだと思う。

そんな素人鑑賞者につき、京都国際映画際「KYOTOGRAPHIE」のことも知らなくて、今年、写真サークルの方に誘ってもらって初めて見に行った。京都市街地に点在する複数の会場でさまざまな写真の展覧会を同時開催する国際写真祭である、という基本的なフレームも、今回行って初めて知った次第。

そもそも、写真を見ることより京都のまちを歩くことに主眼を置いて出かけたのだけれど、実際に見てみると思ってたよりずっと楽しめた。なにがよかったかというと、会場がいわゆる写真ギャラリーではない「まちなかのあちこち」に設定されていることだ。

公式マップには以下のように説明されている。

世界で活躍する写真家の貴重な作品や秀逸な写真コレクションに、寺院や通常非公開の歴史的建造物・モダンな近現代建築という特別な空間で出会えます。(中略)第5回となる2017年は、数十名のアーティストが参加し、16会場で展示を行います。


「京都」という文脈に、あらじめ写真を埋め込んでくれていることで、どの写真展でも、写真がただ写真作品としてではなく、ある種のインスタレーションとしてそこにある。私のような「視点なき鑑賞者」にも、十分な文脈を与え、写真を見る視点の持ち方のヒントを与えてくれる親切設計なのだ。

カメラをぶら下げた写真愛好家が多数訪れるので、ほとんどの会場で自由な写真撮影が許されているのも楽しい。結局、後日もう一度出かけ、以下の展覧会を見ることができた。建仁寺荒木経惟を見たかったのだけど、時間配分を間違えて閉館ギリギリに行ったら行列ができていたため、受付で断られてしまった。無念。

 

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★虎屋 京都ギャラリー/フランス国立ギメ東洋美術館・写真コレクション
 「とらや」茶寮のとなりの素敵なギャラリー。
 外国人が撮影した明治期の芸者、花魁、婚礼風景など。
 手彩色のファンシーさ、奇妙な非日常性。

★元・新風館
 インフォメーションセンターになっていて、複数の無料展覧会あり。

京都文化博物館別館1階/ラファエル・ダラボルタ ショーヴェ洞窟
 すごい技術を駆使して、3万6千年前(!!!)の壁画が残るフランスの洞窟を360度撮影したとか!! こういうのは誰かが撮って見せてくれないと一生見れないものだから、素直に写真が持つ力として感動せざるを得ないよねえ。でっか〜いモニターに映し出される高精細画像のスライドショーが圧巻。座ってぼーっと眺めるのがすごく楽しかった。会場となっている建物は旧日銀京都支店。木の細工が美しい天井、鍾乳洞のごとく垂れ下がるシャンデリア、高い天井、凝った意匠……。いわば洞窟 in 洞窟。作品と会場のシンクロ具合が素晴らしい。

京都文化博物館別館2階/ルネ・グローブリ The Eye of Love
 写真家が、新婚旅行で妻を美しく撮影した愛あふれる写真の数々。1950年代のパリ。映画『リリーのすべて』を思い出した。
 しかし、奥さんがメイクしてる鏡に、背後でカメラを構える写真家が写っている写真を見ると、「ほんま、カメラ男子ってヤツはいつでもどこでも写真のことばっか考えやがって」と思ってしまう(笑)。写真の中の奥さん、とっても美しいけれど、奥さんはどう思ってたのかな?

★誉田屋源兵衛 竹院の間/ロバート メイプルソープ写真展
 エロ系の人物写真、エロモチーフ写真豊富。ここは撮影禁止。
 会場は「帯匠」であります。2階に展示されていた帯が美しくてうっとり。

★誉田屋源兵衛 黒蔵/イザベル・ムニョス Family Album/Love and Ecstasy
 帯屋さんの蔵での展示。2部構成で、前者はゴリラやチンパンジーの家族がモチーフ。霊長類の写真は心ざわつきますね。表情豊か。後者は身体改造などがモチーフとした痛〜い写真いろいろ。後者を展覧していた蔵の最上階のドーム状の空間が素敵で、ここから見下ろす京町家の風景に萌えた。普段は何に使っている空間なのか。周囲に見下ろす坪庭、重なる瓦屋根、たまらん感じ。

★無名舎/ヤン・カレン 光と闇のはざまに
 京都に残った職人文化の「道具」や「風景」の端正なるポートレート。手漉きの和紙にプリントされた静謐な作品が多数展示されいた。写真作品個々がどうのこうのというより、京都の町家空間との調和が素晴らしく、空間と時間込みの展示。刻々と移り変わる光。その揺らぎの美しさ。

★ASPHODEL/TOILETPAPER
 極彩色とポップな意匠に彩られた、インスタ映えしまくりの写真スタジオ!!って感じ。会場となったギャラリー1棟まるごと、イタリアのアート雑誌「TOILETPAPER」流にデコレートされている。というわけで、おしゃれぴーぽーで大賑わい。派手なモチーフあふれる空間で、皆さん写真撮りまくり。わたしは残念ながらおしゃれぴーぽーではないので、あまりなじめなかったけど、女子グループで行って写真撮り合いっこしたら楽しかったんちゃうかなあ。

 

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