うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

ルーティーンをやめること、あるいは名古屋ウィメンズマラソンへの愛を込めたさようなら。

マラソン大会にエントリーするようになって8年ぐらい経つ。

 

ランニングに対する熱は上がったり下がったりしながらも、コンスタントに大会には出場していて、ここ3〜4年は、秋のフルマラソン(神戸マラソン大阪マラソン)でシーズンの幕を開け、1月に10kmを走り(武庫川新春ロードレース)、2月にハーフを走り(神戸バレンタインラブラン)、3月にフルをもう1本走り(名古屋ウィメンズマラソン)、タイミングがあえば4月に10kmをもう1本走ってシーズンを終える(芦屋ファンラン)、というサイクルがすっかり定着していた。

抽選のないこぢんまりとしたレースなら直前でもエントリーできるけど、大阪マラソン神戸マラソンのような都市マラソンは本番の半年も前にエントリーが始まって、抽選で当落が決まる。エントリーの時点では、半年も先のことをあまり真剣に考えずに「運試し」的に申し込んでしまうのだが、当選するとやっぱりうれしいので走る。秋のレースは幸いなことにどちらかひとつは当選するので、結果的にルーティーン化した感がある。

ちょっと変わっているのが名古屋ウィメンズだ。基本的には抽選なのだけど、一般エントリーに先行して、遠方から参加するランナーのための「宿泊付きエントリー」という枠があり、ホテルとマラソンをセットで購入すれば、抽選なし、先着順でエントリーできるのだ。

2012年の第1回大会ではそもそも一般エントリーが先着順だった。第3回は近鉄電車の往復とホテルをセットしたツアーがあって、その枠で走った。宿泊+エントリーだけのパックが登場したのは第4回以降だったと記憶する。いずれにせよ、人気があるけれど確実に走れる大会として毎年エントリーするようになった。

マラソンブームは一段落しているようにも思うが、一部の大会には異常なまでの人気があり、この名古屋ウィメンズも年々人気が高まっている大会のひとつだろう。

私は折り返しの多い名古屋のコース自体はあまり好きではないのだが、コース全体にアップダウンが少なくフラットなのでベストが出やすいし、なにしろ「女子ばかりのフルマラソン」という価値は他に替えがたい。

マラソンが女子ばかりだとどうなるか。無理な追い越しをしてくるランナーが少ないので安全で、給水所で紙コップを道にポイ捨てするランナーが少ないので清潔で、レース終盤に道路にバタバタと倒れているランナーが少ないので終始レースがスムーズ。つまり、端的にいってものすごくマナーがいいのである。全体的に明るいウェアのおしゃれなランナーが多いので視界もいい。あんまり男女の区別はしたくないけれど、名古屋ウィメンズを走るたびに、他のマラソン大会のマナーは一体どうなっているのか、と思わざるを得ない。本当に全然違うのだ。なんでなんでしょうね?

 

マネジメントも気が効いていて、あんなに参加者が多い大会にも関わらず、レース前には名古屋ドーム前の広い駐車場で、前方モニターを見ながらランナー全員で楽しく準備体操ができるし、ゴール直前には、素敵な音楽と素敵なメッセージがランナーを温かく迎えてくれる(私はいつもここで泣きそうになってしまう)。先にゴールしたランナーが後続のランナーを自然に応援できる動線になっているのもいい。

 

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名古屋ウィメンズといえば「ティファニーがもらえる」ことばかりがクローズアップされがちだが、本当によくデザインされたいい大会なのである。

 

インバウンド施策も積極的に講じているのだろう、去年などは特に海外からの参加者も目立った。なるほどこの大会ならぜひ海外の人に参加してほしいと私も思う。ただ、やっぱり人気が高くなりすぎてエントリーが困難になっているのは、初期から参加している者として少々寂しい。仕方ないけどね。

 

名古屋ウィメンズ語りがムダに長くなってしまった。

かように素晴らしい大会でるため、私は今年も上記のルーティーンを続けるつもりだった。秋は大阪マラソンを走り、1月は武庫川で10kmを走り、2月は神戸でハーフを走り、3月は名古屋でフルを走るつもりだったのだ。でも私は失敗した。気づけば名古屋ウィメンズの宿泊付きエントリーが始まって3日も過ぎていたのだ。

今年は9月1日10時からエントリーが始まったのだが、人気が過熱したせいで直後にアクセスが集中してアクセス障害が発生したらしい。後から知ったことだが、初日にエントリーを完遂するのは3時間も4時間もパソコンの前で張りつかざるを得なかったという。そういう意味では気づかなくてよかったのだが、遅ればせながらエントリー画面にアクセスした私は、残ったホテルの選択肢を見て絶句した。エントリー料(12000円)を含むとはいえ、残ったプランは軒並み、1泊で5〜6万とか、めちゃくちゃ高額なのである。素泊まり、よくて朝食ついてるだけですよ? 去年までこんなに高くなかったと思うのだけど……。たまに3万円ぐらいのがあるかと思いきや(それでも高い)、宿泊地が四日市とか、豊田市とか、めちゃくちゃ遠い。

 

それでも「実績のあるよいルーティーンを守りたい」という謎のモチベーションでエントリーしかけていたのだけど、次の瞬間はたと気づいた。よく考えればもうあたし、もう名古屋は十分走ったなと。明らかに料金も去年より高騰しているし、初回からスポンサーとして大会のブランディングをリードしてきたナイキも降りて、ニューバランスという新しいスポンサーがついている。使わないティファニーも溜まる一方だ。大会も変質しているし、私も変化している。名古屋ウィメンズは、私よりキラキラしたフレッシュなランナーがより多く走るべき大会になっている。

 

というわけで、気持ちを切り替えて名古屋の代わりに2月の「北九州マラソン」に初めてエントリーしてみた。抽選なので当たらないかもしれないけど、倍率もアホみたいな高さじゃないので当たるとうれしいな。私、北九州市の、自然と人工がせめぎあう緊張感のある風景がものすごく好きで、出張でたまに行くたびに、うっとりしすぎて風景見ながら涙ぐんでしまうほどなのである。あの風景の中を走れるのはものすごく楽しそう。しかもコースも、私が理想とする往復コースに割と近い。北九州なら前日の一人飲みも楽しそうだ。そう想像するだけでものすごく楽しくなり、気分が明るくなった。

 

ここまで長々書いて、一体何がいいたかったかというと、ルーティーンは意識的に破るべきだし、破って初めて新鮮な何かが発見できるということだ(ドヤっていうほどのことではないですね)。一つひとつの内容がいくら価値あるものだったとしても、それがルーティーンとして鎖につながれると、「こなす」感覚、義務感がどうしても出てきてしまう。わたしは知らず知らずのうちに、保証された達成感をただた得ることを、ここ数年のランニング生活の最上位に置いてしまっていたなと。そこにひとつでも新しい要素を加えるだけで、わくわく感がこんなに上がるとは。

 

ここのところ。ランの記録も上がらないし、走ることそのものに対するモチベーションが低調化していたのだが。よく考えれば私が走り始めたきっかけは、単純に「服が似合う体型を維持するため」だったのだった。そして実際に走ってみると、普段見過ごしているような道端の花が、空が、街が、鳥が、海が、ものすごくきれいに視野に入ってくることも知った。出張で見知らぬ街を走ることが、どれだけ土地と自分を近づけてくれるかも知った。8年でモチベーションはいろいろ変化したけれど、8年間の間、ずーっと続いているそれらの感動までルーティーンの中に埋もれさせてしまわないように、新しいチャレンジを加えていきたいな、というささやかな気持ち。

 

来年は秋のマラソンも見直してみよう。

でも楽しく走り続けたいな、と思う。