うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

伝統芸能3夜 — 9月の旅(5)

しつこく続くバリ島旅行記。

3夜にわたって見た伝統芸能の記録をちょっとだけ。

農業や商業に携わりながら、楽器を奏で、踊り、絵を描き、モノを作る。そんな暮らしが当たり前だというウブドでは、毎夜各所でさまざまな公演が行われている。中でも有名なのは、今でも王室の方々が暮らすウブド王宮(プリ・サレン)の舞台で毎晩行われるバリ舞踊の公演だろう。ただ、私が訪ねた期間中は、残念ながら王宮は修復工事中。王宮内の舞台が使えないため、道をはさんだお向かいの集会場となっていた。

ウブド王宮のバロン・レゴンダンス

というわけで、最初の夜はもちろんウブド王宮へ。ウブド中心地の王宮前には観光案内所があって、その周囲にオフィシャルのプレートをぶら下げたチケット売りがわんさかいる。お代は10万ルピー(800円ぐらい)。

スタートは夜7時30分。30分前に会場に入ると、そろそろ人が集まり始めたタイミングで、端っこながらも最前列がキープできた。会場にはビンタン(バリビール)売りも出ていて、もちろん購入。ビールを瓶のまま飲みながら舞台が眺められるなんて最高や。写真も「どうぞどうぞ撮ってください」の体制で、たいへん大らか。会場で日本語の演目解説を受け取る。何カ国語ぐらいで用意されているのかなー。

舞台が始まる前に、花を飾ったり、楽器を準備したり、と粛々と準備が整う様子を眺めるのもまた楽し。

ガムラン演奏の序曲、レゴンダンス、バロンダンス、舞踊劇の4部構成で、この夜のメインの舞踊劇のテーマはインド神話の「スンダ・ウパスンダ(Sunda Upasunda)」の物語に材をとったもの。優れた資質を持つ兄弟が、奢って神の怒りに触れたため、神さまから色仕掛けの謀略をしかけられていろいろ起こるという(違うかな)、吉本新喜劇みたいな内容。

ガムランの瞑想的な響きがなんとも美しく、指先、つま先、眼球にまで力を行き渡らせた独特の所作に目を奪われる。途中、ファニーなメイクの道化役も登場し、喜劇としての側面をはっきりと見せてくれる。

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迫力あるビンタン売りのおばちゃん。腹巻きの中に釣り銭をしまっている。「写真撮っていいですか」と聞くと鷹揚に頷き、撮影後に確認を求められたので画面を見せると、ゆっくりと「GOOD」と言ってくれた。ありがとう。

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ウブドのプラ・プセでケチャダンス

2夜目は火を囲んで、男声合唱と舞踊を楽しむ火踊り、ケチャダンスへ。

会場はウブド王宮から北へ、坂をしばらく登ったプラ・プセ(起源寺)。料金は7万5千ルピー(600円ぐらい)。境内には既に燭台が用意されていて、広場を取り囲むよう座席が用意されている。薪能みたいな感じ。

時間になるとわらわらと50人ぐらいの半裸の男性が寺の奥から現れて、高く低く響く「チャチャチャ」の声を重ね、それに御経のようなソロがかぶさる。会場全体が揺れるような一体感に包まれて、呪術的なリズムに、ふと瞑想しているような錯覚を引き起こす。そこに踊り手が現れて、蝋燭の炎がゆらめく幻想的な舞台で物語を繰り広げていく……。

題材はこちらもインド神話より、ラーマ王子と妻シータの出会いの物語。途中、サヌマンという白猿が登場するのだけど、これが客席に乱入して観客と記念撮影を始めたりするという楽しいサプライズ演出も。こっちにもきて欲しかった!

物語が一段落した後は、地面にたき火を広げて、その上を素足で歩くというパフォーマンスが披露される。ひえ〜。

幻想的な舞台効果もあいまって、とても面白かった。

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■モンキーフォレスト通りで影絵

私にはバリ芸能といえば「影絵」というイメージがあったのだけど、日々いろんなところで行われている舞台の中では、影絵の公演は少ない。たまたま最後の夜に開催されていたので行ってみたところ、前2夜とは打って変わって観客の少なさにびっくり!

開演ぎりぎりに行ったのに、先客が1人(しかも日本人)しかいなかったのだ。会場も場末た陰鬱な場所で、思わず「大丈夫か?」と心配になったほど(笑)。ほどなく、事前に予約していたらしい欧米人が4人ほど来て、わたしたちを含めても7人ぐらいしか観客がいない中で始まった。

「眠くなる」とは聞いていたけど、確かに。スクリーンの裏側からパペットを動かしつつ、効果音やセリフ、音楽が添えられるのだけど、言葉が分からない上に動きも単調なのでどうしても注意力が散漫になってしまう。しかし、光ゆらめくスクリーンの上の影の動き、スクリーン裏の生演奏の響きはとても素敵だった。始まる前にスタッフに「日本人?」と聞かれたのだけど、たぶんそのせいで、劇中「さくらさくら」だったかな、日本の歌がはさまれた。こういうサービス精神がバリ島っぽい。

退屈したのか、欧米人は途中退出してしまい、最後まで残った観客は日本人3人だけ。大丈夫かなーとちょっと心配になる公演ではあった。確かに舞踊に比べて派手さはない。その後同行者とともに「どうやったらこれに人が集まるのかなー」なんて話しつつ帰途についた。

バリ舞踊がさまざまな変化を遂げつつ進化しているように、影絵もエンターテイメント性をましてこれから進化していくのかも。

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