うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

日帰り出張の車窓から

交通網の発達というのは素晴らしいもので、もう、日本中大抵どこでも出張は日帰りだ。関西からだと、東北や九州、北海道の一部は難しいけれど、あ、あと意外に愛媛とかも大変だけど、新幹線の駅があったり空港があるまちなら楽勝だし、公共交通機関が通じていれば無理なく日帰りできる場所は多い。

特に私のような仕事の場合、出張の目的はその場所にいる特定人物の話を聞くことなので、長くても3時間あれば用は済む。よほど早朝や夜遅くに現場にいなければならない事情がなければ、往復の移動に10時間かかったとしても日帰りで事足りる。

今日の行き先は新潟で、これを私は帰りの新幹線で書いているわけだが、東海道新幹線で神戸から東京へ出て、上越新幹線に乗り換えて新潟へ向かう。これで片道5時間半ぐらい。新幹線の駅に向かう行程も含めれば6時間。往復12時間というと結構すごい。新潟はまあまあアクセスの悪い場所だ。

だからといってそういう仕事が入るとイヤかというと、全然そんなことはなく、楽しい。そもそも自分は行動力がないので、仕事でもなければ知らない街に行ったりしない。そんな私でも知らない街を見るのは楽しい。しかし、旅行じゃないから楽しまなくても損はしない。しかし、車窓から風景を眺めているだけで楽しいのだからどのみち得だ。もちろん損得の話ではないけれど。

上越新幹線の「Maxとき」は二階建て。東京駅を出た直後は当然のように周囲はまだ東京のど真ん中だが、二階席から眺めれば、もうそれは越後への道中。東京駅を出た瞬間から楽しい。

 

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都市はよく森にたとえられるが(たとえられるよね?)、東京の街はほんとうに森で、しかも、地下深くから地上高くまで、いろいろな魑魅魍魎が暮らす魔の森だ。

ひるがえって、私が暮らす関西はそもそも、人が暮らすべくして暮らした場所なので、地形に無理がなく破綻がない。その風景に慣れていると、東京の無理無理しく禍々しい感じにどうしたって目を奪われる。川は深すぎるし、坂は急すぎるし、道は曲がりすぎている。方向感覚を狂わせる樹海の様相。二階席から見下ろすと、まちの立体感が迫ってくるのでくらくらするほど面白い。面白い、面白い、と何度も車窓にカメラを向けるが、撮った写真は全く面白くない。あー。

 

そんな私の気持ちなどどうでもよさげに、上越新幹線はすごいスピードで日本を横断する。東京から埼玉、群馬、そして新潟。湯沢、米どころ魚沼。長岡、三条……。

 

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湯沢には高い山がそびえていたし。長岡では蓮根畑が目に付いた。新潟は見渡す限り田んぼが続く。田んぼ、田んぼ、田んぼ。美しくて気が遠くなる。

トンネルの中では本を読み、窓の外が明るくなるとiPhoneGoogleマップをタップして、自分が今どこにいるのかを確認する。そして写真を撮る。撮っても撮っても目の前の風景は写らない。目の前の風景のミニチュアですらない。圧倒的につまらない画像でしかない。でも撮らずにいられない。八海山。トンネル。スキー場。トンネル。田んぼ。田んぼ。田んぼ、まち、まち、まち。

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驚くほど多くの人が暮らしている。このまちは知らないまちだ。道の真ん中に自転車を止めて話しているカップルがいる。田んぼの真ん中で雑草を抜くおばあちゃんがいる。つぶれたガソリンスタンドがあり、大きなダイソーがある。キャベツ畑があり、鳥が飛んでいる。

移動している私は、この景色の中でどういう立場か分からない。風景と交わることなくただただ高速で移動を続ける。グーグルマップの現在位置のポイントはすごい勢いで移動し続ける。そして、狂っているとしか思えないほどの正確さで、切符に印刷された通りの正しい時間きっかりに目的地に運んでくれるのだ。