うだうだと考える日記

読んだ本や観た映画、日々の雑事のあれこれ ネタバレはないはず。

『阪急電車』今津線各駅停車の旅(3) 草ぼうぼうの逆瀬川

逆瀬川駅の駅ビルには、私が大学生だったころ西武百貨店が入っていた。阪急電車なのに阪急百貨店ではなく西武百貨店

 

当時、私はここから2駅先の仁川駅から坂をずいぶん上がった辺鄙な場所に住んでいて、近所のコープさん(神戸、阪神間エリアの人はコープこうべを親しみを込めてそう呼ぶ)では間に合わない日用品以外の買い物をしなくてはいけない時に、原付や自転車でちょくちょくここに来た。

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駅前に大きな建物がいくつもあって、山手の住宅街の入口になっているこの駅の周辺には、宝塚駅周辺のレトロで独自性のあるキラキラ感とは一線を画する、地域性の薄い、しかしその分、どこかすがすがしいハイソ感がある。

 

ホームから出口に出る階段の途中に、ツバメの巣があり、ヒナが元気にさえずっていた。

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これを見て娘、この日一番の大喜び。この駅の設定ではなかったものの、小説内に駅構内のツバメの巣の描写があり、その下に掲げられている張り紙の言葉も、ほぼ小説のままだという。「ツバメの季節に来てよかった」と何度も繰り返す。小説内の季節と現実の季節がちょうど同じなのだ。

 

何人もの乗客が階段の途中で脚をとめて、ヒナたちを愛でたり写真を撮ったりしているのがほほえましい。確かにここなら雨風を避けられる上に安全で、ホームから外界への出入りも自由。いいところに巣をかけた賢いツバメだなと感心した。

 

駅を出ると、ほどよい遠さに六甲の山並み。はっきりと斜度を感じる地形に風が通る。

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逆瀬川の河川敷にはぼうぼうに草が茂っていて、川底の敷石が描くパターンは、フェンディのバッグのようだ。

 

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ところで、草ぼうぼうの川は何も逆瀬川だけでなく、この沿線の川の特徴だ。

武庫川も仁川もこんな感じ。

というかどこの川でもたいてい草ぼうぼうかもしれないが、私の住んでいる神戸市内、特に三宮から東側のエリアは、六甲山が市街地のすぐそばまで迫っていて海も近いので川の総距離がとても短く、大雨になると一気に水量が増えて氾濫しやすいため、それを防ぐためという理由でほとんどがコンクリート護岸になっている。効率よく大量の水を流すためには抵抗が少ない方がいいからだ。

川というより「水路」と呼んだ方が正しいぐらい、滑り台のごとく一直線に山から海をめざす硬質な神戸の川を見慣れていると、こういう草っぽいざわざわとした河川敷がとても美しく見える。

 

逆瀬川駅に関しては確かめないといけないような描写は特にない、と娘がいうので、駅のまわりをぐるりと回ってすぐに改札に戻る。

(つづく)

 

 

 

阪急電車 (幻冬舎文庫)

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